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コーチの態度

 これもまた、前述のコーチの話です。 

 前の話題は、選手の態度に対する考え方を述べたものでしたが、今度は、コーチの態度を述べています。

 「コーチは、選手にとっては父親みたいなもの。選手がコーチに愛情を感じることが重要です。しかし、時々、戦略や技術を教えようとした時、選手がコーチの愛を感じ取らない限り、どういう技術を教えても心には届きません。コーチは、教える前、自分に聞くべきです。『本当に選手のことを思っているのか。愛しているか』と。

 選手は、それぞれ違った性格や人格を持っています。それを理解し、選手のマインドを読み、プライドについても理解し、環境なども知ることも重要です。

時々きついことを言うと、怒ってしまったりする者もいます。こう言う選手には、もっと優しく接することが必要です。こういうことを忘れたり、見過ごしてしまうと、費やした時間が無駄になってしまいます。人間と接しているのです。キーを打てばそのまま反応するパソコンを相手にしているのではないのです。

だからこそ、コーチは選手に対して、関心と愛を持たなければならないのです。

技術的な話も感情なく伝えると、選手は耳では聞こえているが、心にまでは届きません。本当に選手を気にかけて、心から信じて話すと話を聞きます。

 時々、ミスをすると、汚い言葉を発したり、ラケットを投げたり、行儀の悪いことをする選手がいます。

コーチがその選手を息子や娘同様に見ていたら、『ストップ、それは良くない。二度としてはいけない。』と言うべきです。しかし、多くのコーチは、選手がそういうことをしていても見ぬふり、聞こえないふりをしてしまいます。ラケットを投げても何も言わない。それでは、選手を教えることはできません。そうしたコーチは、技術面しか気にしていません。コーチは、技術を教える前に、正しい言動や正しい考え方、他人を尊重することを教えるべきです。もし、そうしたことができない選手は、預かることはできません。

100パーセント集中して練習しない時、コーチは、なぜそうなのかを理解しないといけません。なぜ、選手が真面目に取り組まないのか、どうして、そのような行動をするのか、なぜ、努力しないのか、それには必ず理由があります。選手の行動が良くないと気づいた時は、言うべきです。『時間を無駄にしている。それと同時に私の時間が無駄になっている。そうした行動は、もうやめるべきだ。』と。こういうことを言った時に、本当にいい選手になりたいならば、行動を変えようと試みます。言わないと、時間を無駄にするだけです。

 時々、コーチは、ルールを作りますが、多くのルールよりは、一つのルールが良いです。ある選手が上手な場合、コーチは、彼に従うところを見ます。プレーヤーが何をしても何も言いません。しかし、コーチは言うべきです。『そのようなプレーをしていたら、ここから追い出す』と。たとえ、トッププレーヤーに対しても、間違っているところを言わなければなりません。これに対して、時々、『あの人は、1位だから強い選手がいなくなったら、誰が成績を出してくれるのか。』しかし、彼を失った方がいいのです。ルールを見せるのです。コーチの持つ原則を示すのです。選手はだんだん上手になります。悪い行動をする者を追い出すと変わります。他のコーチが、私に『もし、そうしていたら、選手がいなくなります。』と。私は言います。『いないところから始める』と。必ず選手はやって来ます。その後は、問題ありません。

 コーチは、選手が試合をしている時、試合を見ることに集中します。しかし、時々コーチが誰かと話をしていることがあります。それは間違っています。選手は私を尊重していますから、私も選手を尊重しなければなりません。選手が練習をしている時、私は、立って見るのが好きです。難しい試合をしている時も座りたくありません。私も試合をしているような感覚です。一番必要なことは、本当に選手を愛し、気にかけること、それが一番です。愛せずに教えるのは、ずるく感じます。気にかけているから、10回のうち10回ミスしても、挑戦し続ける限り、気にしません。ミスをすると汚い言葉を発するコーチを見ますが、それは選手の自信を失わせます。いいコーチになるには、愛が必要です。」

どうでしょうか。反省、反省の毎日です。

 

 いかがでしょう。多くのコーチたちも完璧ではありません。多くの欠点を抱えながら指導を続けているはずです。時には自己の信念を失ってしまうこともあるかと思います。

しかし、多くの愛情を注げば注ぐほど、その見返りは多いはずです。

 バドミントンの指導ばかりではなく、教育ということに、多くの指導者が自信を失いかけている現在、常に考えなければならない課題であることも確かです。