今の子どもたちの様子を第三者の目で見てみると、その違いを感じることがしばしばです。以前に、禅の教えにあるたとえ話の四つの茶碗の話をしました。
逆さに置かれた茶碗、底に穴の空いた茶碗、茶渋で汚れた茶碗、綺麗な茶碗、これは、教えに対する対応の違いを示したものです。なぜそうした違いが生まれるのでしょうか、子ども本人の能力の差と言ってしまえば簡単なのですが、それが全てではないようです。
確かに、他と自分の違いについて、子どもたち自身は、意識はしてはいないでしょうが、他人の目から見ると、この子はなぜこういうタイプに育ったのだろうと考えさせられこともしばしばです。
アメリカの心理学者サイモンズが「子どもの性格と親の態度の関連性」について、次のような分類をしています。
「支配型」
子供に対して、威圧的に命令したり、矯正したりする育児姿勢で、結果的に子どもは従順になりますが、一方で親の顔色をうかがうような消極的な態度を取るようになるタイプ。
「服従型」
支配型とは逆に、親が子どもの顔色をうかがいながら過ごす状態で、子どものいいなりになったり、好きなことをさせ、ほしい物はなんでも与えたりするようなタイプ。
このように育てられた子どもは、人の言うことを聞かず、時には乱暴に走るなど、自己中心的な性格になりやすいそうです。
「保護型」
これは、過保護のタイプで、この状態で育った子どもは、身を守る方法を上手に身につけられない面があるが、精神的には安定しているという一面もあるそうです。
「拒否型」
保護型とは逆で、親が子どもを無視したり、拒否したりするタイプ。
子どもは、不安を感じたり、落ち着きがなくなったり、神経質になるタイプで、子どもは、気を引こうとして、乱暴なことや反社会的な行為をしてしまう場合もあるそうです。
複合型
複合的に組み合わさっているパターン
「支配+保護」
世話を焼き過ぎて、子どもの自発的な行動機会を奪っているタイプ。子どもは、依存心が強くなったり、集団に馴染みにくくなるタイプです。
「保護+服従」
甘やかし、なんでも許してしまうタイプ。自己中心的で忍耐力のない、反抗的な性格になりやすくなるタイプです。
「服従+拒否」
親に無視されるタイプで、子どもは警戒心が強く、神経質で寂しがりやの性格を持つようになるタイプです。
「拒否+支配」
無視されながらも、支配されている窮屈なタイプ、子どもは強情な性格になりやすく、親から逃れようという逃避行動を起こすようになるタイプ。
「支配と服従」、「保護と拒否」のバランスが取れている状態が理想のようですが、こうした親の子どもに接する態度以外にも、環境や本人の意識など、子どもの性格の形成に影響を与えるものはたくさんあるはずですが、やはり、身近な存在であり、接する機会も多い親の影響は少なくないはずです。
自分がどのタイプに属するのかを判断するのは、なかなか難しいものですが、時には考え、見直すことも必要なのかもしれません。