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奇跡のレッスン

 世界の一流指導者たちが、子供たちに1週間のレッスンを行い、技術だけでなく心まで変化させる様子を描くドキュメンタリー番組です。BS1で随時に放送される番組で、バドミントンについては、2016年3月にも放送されていました。

今月の29日(金)のEテレ午後10時からも放送されますが、近々YouTubeでも見ることができるかと思います。

今回の主役は、マレーシア代表として国際大会で活躍し、引退後はマレーシア代表のヘッドコーチとして選手たちを世界一に導いた伝説的な存在のミスボン・シデク(56)氏です。

 過去には、卓球のマリオ・アミズイチ氏、新体操のオリガ・ブヤーノさん、女子サッカーのモニカ・シュターブさん、バレーボールのアントニオ・マルコス・レルバッシ氏、テニスのダビッド・サンズ・リバス氏など多くの登場がありました。

これらの全てを見たわけではありませんが、世界の一流選手を育てた彼らには、共通する何かがあるのは確かです。

彼らの指導は、わずか1週間の指導期間でしかありませんから、その指導法全てを把握することはできませんが、彼らの発する言葉や行動は、それこそ我々のような一介の指導者にも、数多くのヒントを与えることは確かです。

 日本のバドミントンも長い低迷時代を抜け出し、世界のチャンピオンの地位を占めるようになってきました。

ちょうど1年ほど前の読売新聞9月20日(火)には、リオ五輪のバドミントン女子ダブルス金メダルについての特集が組まれていました。

今の日本の代表チームを率いる朴 住奉(パク・ジュボン)氏は、韓国代表として1992年バルセロナ五輪男子ダブルスの金メダリスト、コーチの中島慶(中国名は丁 其慶)氏についての記事ですが、二人はリオ五輪女子ダブルス高橋・松友を優勝に導いたことでも知られています。

バドミントンが正式競技となった1992年以来、日本のメダルはゼロ、こうした状態を救ったのは彼ら外国人コーチの存在といってもいいでしょう。

 朴監督についての記事は、同じく五輪前の読売新聞2月29日にもあります。彼の言わんとする内容は、従来の日本代表選手への感想として、「負けても悔しがらず、関係ないというような顔だった。気持ちが弱く、勝てそうな試合も負ける。でもパワーもスピードもあって伸びる可能性は感じた」就任当時の感想である。その結果、彼が実施したことは、勝負強さを培うために重きを置き、単調なフットワークの反復や、サーブの繰り返しなどの基本の徹底だと述べています。

「練習は試合と、試合は練習と一緒。練習から絶対に勝つという気持ちが必要。練習で打てないショットが、プレッシャーのかかる試合で打てますか」とも述べています。結果は、タカマツ(高橋・松友)ペアーの金メダル。

 昔の日本人選手の特徴といえば精神力の強さでした。今の日本選手に欠けているものは精神力の強さ、技術はもちろん大切ですが、生活環境の変化や技術だけを追い求めた結果、失ってしまったのでしょうか。

 話は戻りますが、前述の一流の指導者たちに対して、不思議と共通の思想を感じるのは、自分だけでしょうか。たとえ種目は違っても彼らの持つその理念は共通のようです。