· 

緊急事態宣言

 新型コロナウイルスに対する緊急事態宣言が出されたのは、当然と言えば当然なのでしょうが、その内容について言えば、十分なものとは言えないようです。実施予定日が、東京都と政府との調整において三日も遅れてしまいました。

より実効性のあるものをと考える東京都と経済的な落込みを懸念する政府との「内輪もめ」が、この状況にしてしまったとも言えるでしょう。

 国は居酒屋と飲食店との線引きが難しいということで、時間短縮にとどめさせ、対応を急ぐ東京都に対してブレーキをかけるという、チグハグな状況も生み出しました。

日々感染者が増加し、切迫する東京都に対して、国の危機感やスピード感も十分ではありません。

他の自治体が休業要請を見合わせているのは、補償問題が生じるためのようです。国は、この法律は、緊急宣言をするのは国だが、外出自粛や休業要請や指示は都道府県の知事と規程してあることを盾に、これを否定しています。

「仏作って魂入れず」の状態の法律のようにさえ思えてしまいます。ますます事態が悪化すれば、その責任の押し付け合いも生じかねません。挙句は、切羽詰まって、国が補償するということになるかもしれませんが、時すでに遅しとならない事を願うばかりです。

 千葉県、埼玉県に隣接する茨城県の立場はどうなのでしょうか。軽井沢への都民の移動については話題になりましたが、ここ最近、近くのパチンコ店の駐車場には、他県ナンバーの車が目立ってきました。

パチンコ依存者にとっては、多少の距離の遠さなどは苦にも思わないのかも知れません。

茨城県民にとっても、この措置法の宣言に向けた進捗状況を早く示してくれることを期待したいものです。

 ところで、日立市内の高校性が県内高校の休校措置が一斉でないことに対して、抗議ストライキをしたことが報じられました。それに対して、知事は「教育崩壊を避けるため」という理由でそれを退け、県内一斉休校を行わないことにしました。それに固執している理由については「ある程度、感染をコントロールしている本県では今のうちに授業をしないと、場合によっては一年間に一回も学校に来ることなく卒業しなければならない生徒も出てきてもおかしくない状況。教育崩壊という事態の危険性も想定して、合理的に判断しなければならない」と述べています。

しかし、この説明については、休校措置がとられている県南、県西9市町と神栖市の「感染拡大要注意市町村」10市町とのバランスについての詳しい理由については、新聞報道からは分りません。

うがった見方をすれば、ウイルス感染の可能性のある地域の学校については、知事が言うように一回も授業をしない学校が出てきてもおかしくありません。そうした地域に対しては、「学習面での切り捨て」と、とられかねない判断のように思われてなりません。

前にも述べましたが、ウイルスか経済か、両天秤にかけるような判断の仕方が中途半端な結果を招きやすいのと同様に、本県のウイルス感染と学習面を天秤にかけている状況は、決して良い判断とは思われません。

とにかく、現時点ではウイルス感染を抑え込むという方向が見えているのですから、それを第一目的とすべきでしょう。

もし、休校としなかった地域での感染発生の場合、どのような理由づけを考えているのでしょうか。

 こうした判断には、政治家の方向性のズレが垣間見られるように思われてなりません。国のトップが優雅にコーヒーを飲むパフォーマンス画像など見たくもありません。

せめて、新型ウイルス消滅させるために苦闘する医療機関の従事者の皆さんに対する強いメッセージを送ってほしいものです。