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阿吽の呼吸

 「コミュニケーション」の意味は、辞書的には人間が互いに意思や感情・思考を伝達し合うことであり、言語、文字、また、視覚や聴覚に訴える身振りや表情、声などの手段によって行うこととあります。

チームスポーツにおいては、コミュニケーションは非常に大切であり、バドミントンにおいても、ダブルス種目ではこのコミュニケーション能力の高さが勝敗に大きくかかわってきます。声をかけ合うことによって、パートナーを動かし、自分のマイナス部分のカバーを可能とするわけです。ですから、その能力が高いか低いかによって、自分たちのコンビネーションにも大きく影響を与えることになるのです。しかし、一瞬一瞬の速い動きの中で言語による手段だけでは解決できない場面も出てくるわけです。

大きく空いたスペースをパートナーがカバーしなければならない場面などには、単なる言語によるコミニュケーション手段だけでは解決できないというわけです。いわば阿吽の呼吸が必要というわけです。

 神社などにある仁王像や狛犬が片方は口を開け、もう一方は口を閉じ、対立する二つの形を表していますが、これは決して別々のものではなく、これで一対のものとされます。全く対立する形のように思われますが、実は考えや行動が合うという意味を表しているのだそうです。どちらかと言えば、従来の日本人は言葉で意思を伝えたり、息を合わすことが不得意でした。ですから、この言葉は、とても日本人に合った言葉だったと言えます。同様に、以心伝心という言葉もあります。

ただ、時代が変化して、日本人の考え方や行動様式が西洋化するにつれて、言語でのコミュニケーションは上手にできるようになりましたが、一方、阿吽の呼吸や以心伝心という面において言えば、それは衰える傾向にあるように思います。

チームスポーツにおいては、少し時間はかかるでしょうが、もう一度「阿吽の呼吸」の養成が必要のようです。