· 

冬季オリンピック

 マスメディアの熱気が満ち満ちていた冬季オリンピックも終わり、テレビのチャンネルを切り替えてもアナウンサーの雄叫びは聞こえなくなりました。

 冬季オリンピックの日本選手の成績は、予想外のものでした。また、そうした選手たちに対する報奨金についても話題になりました。惜しくもメダルを逃した4位、5位の成績の選手のもう少しの踏ん張りがあったら、報奨金が足りなくなるという事態にも発展したかもしれません。そういう意味で言えば、帳尻がうまく合った結果と言えるでしょう。

 昔のアマチュア中心のオリンピックに対して、プロ化した現在のオリンピックについては、様々な意見があるでしょう。昔風に「参加」することに意義があると考えるのであれば話は別ですが、現在のように「勝つ」ということにその意義を見出すとなれば、社会主義国家のように国が全面的にバックアップするようなシステムに対して、個人が片手間にする競技活動では到底無理ですし、また、それに対応するためには、経済的負担は膨大なものになってくるはずです。ですから、よほどの経済力を持つ者か、強力なバックアップ態勢がなされた者でなければ、頂点に立つということは難しいものになってくるでしょう。

 今回の大会では、小平選手をバックアップしてきた地方の病院が話題になりました。年間1000万円以上の経費を自己負担でまかなうことは、個人や小さなクラブなどでは、到底無理なことですから、小平選手の活躍はこうしたバックアップがあったからこそであると言えるでしょう。

 日本などにおいては、勿論、国のバックアップもありますが、民間企業がバックアップの中心です。昔も強豪選手はどこかの企業に属し、その社員として活躍していたことに変わりはないのですが、現在のように競技漬けの毎日を送ることができるような立場ではなかったようです。

企業がバックアップする理由は明瞭です。選手が、広告塔としての役割を果たしてくれることを期待してのものですから、その支障となる一般業務などの役割は必要ないわけです。

一方、広告効果の高い競技や選手は、そうした恩恵にあずかる可能性が多いのですが、そうではない競技や選手にとっては、バックアップをしてくれるスポンサーを探すことが競技を続ける上でのポイントと言えます。そうした競技種目にこそ国の手厚いバックアップがほしいものです。

カーリング女子チームがメダルを獲得しましたが、他の種目のように報奨金はなく、仕事を掛け持ちする中での表彰台でした。今回のメダルは、カーリング界にとっては、スポンサー獲得にとって大きな一歩になることでしょう。

 バドミントン競技も冷や飯食いの時代から抜け出して、脚光を浴びる時代になり、多くのスポンサーが存在するようになったことは、本当にありがたいことです。

しかし、脚光を浴び続けるためには、良い結果が必要条件になりますから、トップに位置する選手たちには現状に満足することなく、さらなる向上を目指して欲しいものです。

それが、後を追う選手たちの十分な環境作りにつながるはずです。

 どの競技も十代半ばの選手の活躍が目立ってきました。昔に比べると、競技を始める年齢が下がったことがその要因でしょうが、そうしたクラブに対するバックアップ態勢は、まだまだまだ十分とは言えません。

これからも国際的な選手を生み出すためには、国や組織が、多くのクラブ、そして情熱ある指導者たちに目を向け、バックアップ態勢整いてほしいものです。