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1万円でよろしいでしょうか

 言葉の使い方の難しさは、常日頃の生活の中で十分に味わっているところですが、最近の生活の中で気になるのは、買い物などの支払い時にレジ担当者から発せられる、「…円でよろしいでしょうか?」という表現です。

もちろん、相手が言わんとする内容は、十分に理解するところですが、いささか癇に障る表現と思うのは、自分だけでしょうか。

例えば、五千円の買い物をして、一万円を出して、そう問われたら、皮肉って二万円出したら、どのような言葉が返ってくるのか確かめてみたい気持ちになります。

 日本語には、曖昧さを含ませることで相手に敬意を表す表現がありますが、これもそうした一つなのでしょうか。

これらは、担当者が、意識的に発するものではなく、マニュアルで義務化されたものなのでしょうが、適正な表現とは言い難いように思います。いささか曖昧で、客の感情を逆撫でするような表現です。

「一万円でよろしでしょうか?」の対応として、さらに一万円追加したら、単に変なおじさんとしか見られないでしょうから、それは止めるとしても、最初からぴったりの額を提示しても、その多くが、『…円でよろしいでしょうか?』と返されると、皮肉って「いや、違います」と答えたくなってしまいます。

 日本では当たり前な商品包装が、外国人からみればあまりにも過剰であるのに似て、こうした表現法は、外国人ならずとも過剰と思ってしまいます。